不安型に続いて、回避型の愛着障害についても解説していきます。
回避型愛着障害の主な特徴
回避型についても、人によって行動は様々です。
ですが、行動原理としては主にこれだといえると思います。
■自分の感情から逃げる 回避する
回避型は、自分の感情や周りの人の感情を感じることが苦手です。
無意識的に感じないように働きかけます。
そのため、共感をしたり、相手の話を ”うんうん” と聞き続けることが苦手な人が多いです。
一方、物事に感情を入れないことが得意な反面
経営、営業などビジネス面において好成績を収める人が多いようです。
しかし、時には相手の感情を考えるということが苦手なため
一見、非人道的にみられるような行動を、何気なくしてしまうといったことがあります。
具体的には、以下のような特徴がみられます。
- 一人が好き
- 感情をうまく表現できない
- 自分の価値、相手の好意、などを 別のもので推し測ろうとする
- 境界線の感覚が非常に強い
- 承認するのも、されるのも苦手
■一人が好き
回避型か、そうでないか・・・ 判断する目安として
落ち込んだときに一人でいたいか、誰かといたいか
というものがあります。
落ち込んだときというのは、感情を抑えるのが難しく
多少出してしまうことがあるものです。
そういったことをほかの人に見られることを回避型の人は非常に嫌います。
そのため、落ち込んだときは一人でいたい、という行動につながります。
落ち込んでいないときは、誰かと過ごすのが好きというタイプもいますが
落ち込んでいなくても基本一人が好き、というタイプが目立ちます。
距離を取られる
また、心意的距離が近くなることも苦手です。
- 過剰に心配される
- 連絡頻度が多くなる
など、物理的距離は近くなくても
コミュニケーションが密になると負担に感じるようです。
その結果、距離を取るための行動をとります。
- 相手を支配する(DV、モラハラなどにつながることも)
- 相手を利用することで、利用する側、される側、という立場に変換する
- 脱走する(連絡が取れなくなる、頻度が少なくなる)
しかし、こういった行動は
決して相手が嫌いだから行うわけではありません。
相手に愛着を持っているからこそ、心地の良い距離の取り方がわからなくなってしまうのです。
■感情をうまく表現できない
回避型は感情をうまく表現することができません。
そして、その自覚がないことがとても多いのです。
喜び、嬉しい、感謝など、ポジティブな表現が特に苦手です。
悲しみを表現するのもあまり得意ではありません。
怒りの表現は比較的しやすいようで
怒ってばかりの印象を持たれてしまう場合もあります。
また、苦手な感情表現を求められたときに
別のことにさらっと置き換えるような行動も見られます。
例でいうなら、パートナーに好きかどうかを聞かれた時に
「好きじゃないなら、ここまでしない」といった具合に・・・
■自分の価値、相手の好意、などを 別のもので推し測ろうとする
回避型の人は、周りの人に対しての信用が、無意識レベルであまりできないため
好意、感謝があまり届かないことが多いようです。
そのためか、仲の良い人に対して、さらっと不利なお願いをさせたり
最終的に自分が特になるように仕向けるなど、一見ずるい行為をするようなことがあります。
そういった行為で、自分が好かれていること無意識に確かめているようです。
お金をくれたから、好かれている
〇〇をくれたから、好かれている など
■境界線の感覚が非常に強い
境界線とは、
「人は人、自分は自分」 という感覚です。
もちろん、生きていくうえで、こういった感覚は必要不可欠です。
しかし、この感覚が強くなりすぎると様々な弊害があります。
- 感情に共感することができない
- 人に甘える、たよるなど、人に対して深い関わりを持つ行為ができない
- 助け合いや、ギブアンドテイクの感覚が理解できない
- 無償の愛、という感覚がわからない
パートナーシップに非常に影響を及ぼします。
■承認するのも、されるのも苦手
承認とは、心理学では相手の存在を認めるような行為を言います。
- 話を聞いてあげる(共感性のある相槌)
- 感情に共感する
- 挨拶を返す(明るく感情的に)
説明が難しい内容ですが、簡単に説明するなら
人に対して、 ”そうだね!” と肯定して認めてあげるイメージです。
回避型愛着を持つ人は、あまり承認をされずに育ったケースが多いとされています。
そのため、承認をされることに慣れていません。
自分をじろじろと見られるような気持ちの悪さを覚えるのでしょうか・・・。
承認されたいとも思わず、された経験もないので
ほかの人に対して承認をすることもできません。
回避型愛着スタイルの謎は、解明されない・・・
回避型愛着障害を持つ人は、そうでない人からすると理解されないことが多く、
さらに孤立していくパターンが多いですが、
本人には特に自覚もなく、そういうひとだから・・・で済まされます。
本人は、自己嫌悪感や、人に対しての恐怖を無意識に持っていることが
そういった行動の原因となっていることが多く
悪気があっての行動ではないため、自覚がなく改善に至らないのが一番の問題かもしれません。
また、回避型愛着について、様々な本やサイトで解説を見かけますが
意見や見解に大きく違いがみうけられるように感じます。
回避型はそもそも、自分の感情から逃げる傾向にあるため
自分の感情に向き合うといったことは、なかなか考えにくく
多くは、不安型の人の体験談から推測されるものばかりなのが原因ではないかと思っています。
回避型の心のうちは、ずっと明かされない永遠の謎なのかもしれません。
回避型愛着障害の人と、良い関係を保つには
遠すぎず、近すぎない 負担にならない距離を保つことが必要になります。
そのためには、自分と相手との境界線をある程度引くことを意識した方が良いかもしれません。
以下の記事も、参考にご覧ください。
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