なぜ、愛着障害は増え続けるのか・・・【今見るべき日本の現状】

愛着障害

さて、たびたびこのサイトで取り扱っている愛着障害についてですが
ここ10年くらいで注目され始めた、比較的新しい研究内容です。

まだ、そこまで一般的になっているとは言いずらいですが、
状況としては、一般的になっています。

今回の記事では、最新の論文や、本、データをもとに
わかりやすく、現状をお伝えできたらと思います。

この記事を読んでほしい人

この記事は、内容が少々難しくなりますが
以下のような人には、きっと役に立つと思います!

  • 愛着障害について悩んでいる人
  • 愛着障害の生きずらさが、自分だけだと悩んでいる人
  • 愛着障害でいる自分が、許せない人
  • なぜ、愛着障害を抱えてしまったのかと悩んでいる人

なぜ、注目をあつめているのか

なぜ、愛着障害は最近注目されるようになったのでしょうか

それは単純に、愛着障害と思われる症状や、困難を示す人が増えたからです。

一般的に、愛着スタイルに問題を抱えた子供は
全体の3分の1程度と、書いている文献が多いです。

しかし、最近の書籍や論文では
愛着スタイルに問題を抱える子供は、全体の半数ほどいる、と
記載がされていました。

私の肌感覚的にも、3分の1よりは絶対に多いだろう、と思わずにはいられません。

愛着障害の研究の第一人者である、岡田尊司先生の論文でも
愛着に問題を抱える子供の人口は、増加しているとのことでした。

両親の離婚と愛着との関係

愛着が不安定になってしまう原因を追究した研究をご紹介します。

実験内容

両親の離婚を経験した学生    150人
両親の離婚を経験していない学生 150人

計300人の愛着スタイルを調査するという実験です。

結果、
両親の離婚を経験した学生の方が
愛着が不安定である人が多く、自尊心も低い傾向があった。

そのほか、

経済環境が芳しくない家庭や
虐待、ネグレクトなどがあった家庭でも
愛着が不安定になりやすい
、というデータがでてきました。

※参考論文
崩壊家庭における愛着障害 岡田 尊司

離婚件数の増加

厚生労働省の公表しているデータでは
離婚の件数は、年々増加傾向にあります。

※参考資料 厚生労働省 人口動態統計特殊報告 より

1970年までは、年間の離婚件数は 5万件を下回っていましたが
そこを皮切りに、緩やかな上昇をしていきます。

1990年から、さらに急激な上昇をしていきました。

2002年のピーク時には、28万組を優に超え、
離婚率は脅威の35%ほどに上りました。(著者計算調べ)

児童相談所相談件数の上昇

また、厚生労働省発表の、児童相談所の相談件数も
同様に増加の一途をたどっています。

※参考資料
厚生労働省 令和2年度児童虐待相談対応件数[PDF形式:983KB]

1996年(平成6年)ほどまでは、
年間1000件~2000件の間を推移していましたが、
そこから、勢いを増して増加をはじめ
2020年(令和2年)時では、20万件を超えています。

1990年代からつづく、不景気

離婚件数の増加、児童相談所相談件数の増加

どちらも、1990年をすぎてから、じわじわと上昇し始めています。

では、1990年代にいったい何があったのでしょうか・・・。

そう、バブルの崩壊です

日本は、高度経済成長期が終わってから
いまだに当時の日経平均株価を超えることができていません。
失われた30年、などと呼ばれています。

つまりは、ずっと不景気の状況なのです。

日本人の賃金があがらない、物価の上昇で実質賃金が下がっている。
というもは、もはや聞き飽きるほど聞くことでもあります。

また、前述のとおり
経済環境が芳しくない家庭では
子供の愛着を不安定にしてしまうリスクが高い
とされています。

家庭に経済余裕がなくなることにより
親の心境的ストレスが、子供に伝わってしまったり
場合によっては、虐待などにつながってしまうことが予想できます。

こういった要因で、愛着障害の人口が上昇していることが考えられるのです。

愛着障害は、増えても減らない

愛着障害は恐ろしいことに、
親子間で、まるで遺伝のように受け継いでしまうということが起きます。

不安定な愛着は、虐待やネグレクト、心理的虐待のリスクを挙げてしまいます。
そして、そういった虐待を受けた子供は
親の不安定な愛着をコピーするかのように、
同じような不安定な愛着を受け継いでしまうのです。

さらに、その連鎖を断つことは非常に難しいです。

つまり、愛着障害は 増えることはあっても
減ることは考えにくいのです。

一般化していく愛着障害

これから、愛着障害という問題は
さらに大きくなっていき、いずれは一般的に知られることになるのではないかと思います。
一般化、という意味ではすでに一般化しているのかもしれません。

精神病や、うつ症状などと聞くと
恥ずかしい、などと感じて
さらに自分を責めてしまう人がいます。

ですが、消して恥ずかしいことではありません。

心理的な問題は、環境的な要因が強く影響します。

きちんとむきあって、解決への道を歩みだすことができれば
大丈夫です。

カウンセリングや、自分と向き合うことに
恥ずかしがらずに、挑戦していくことです。

皆様が楽に生きることのお役に立てれば幸いです。

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