愛着障害という言葉を聞いたことがありますか?
愛着障害は、ここ10年ほどで注目され始めた心理学用語です。
まだ世間一般にはあまり知られておらず、説明できる人もあまりいないでしょう
この記事では、愛着障害とはなんなのか?下記の項目にて解説をしていきます。
- そもそも愛着障害ってなに?
- 愛着障害が引き起こす問題
- 愛着の育ち方
愛着障害を理解することによって、心の問題を別の視点から見ることができます。
心理問題の解決の糸口へとつながることもありますので、ぜひ参考にしていてください。
そもそも愛着ってなに?
愛着とは、イギリスの精神科医”ボウルビィ”が発見した心のシステムです。
主に下記のように説明されることが多いです。
”幼少期に特定の人との間に生まれる特別な絆”
さっぱりわかりませんね。
わかりやすく説明すると、
”自分は守られる存在である、愛される存在である、助けられる存在である” という自信のようなものです。
この自信は、幼少期に養育者(主に母親)に感情的に守られていると自覚することで生まれます。
こういった実感を、安全基地(セキュアベース)と呼びます。
恐怖や不安を感じた時に、養育者に抱きしめられたり感情的な共感をしてもらうことで愛着は形成されるのです。
良好に愛着が形成されると、自分自身への愛情を持つことができ、困難への対応、挑戦心、社会への適応力などが育ちやすくなります。
愛着障害が引き起こす問題
愛着が良好に形成されないと、さまざまな問題が起きます。
- 自己嫌悪
- 人間不信
- 社会不信
- 感情が弱い
- 希死念慮
愛着が形成されていないため、安全基地が持てず人間社会が非常におそろしく信用できない場所に見えてしまうのです。
安全基地がないと『社会は自分を受け入れてくれない』『社会の人間はみんな自分が嫌いだ』『隙を見せたらすぐに排除されてしまう』といった思い込みを引き起こしてしまいます。
社会生活がうまくできないことで、様々な問題へと繋がってしまいます。
- 引きこもり
- 非行行為
- 依存症(アルコール、ギャンブルなど)
- 恋愛問題
このように、愛着障害はじぶんに自信が持てないだけでなく大きな二次被害を生み題してしまうことがあります。
愛着の育ち方
では、愛着はどのように育つのでしょうか?
愛着がうまく形成されやすい教育と愛着障害になってしまいやすい教育について解説します。
愛着が健全に育つ環境
愛着は”共感的な養育者(主に母親)がいることで形成される” とされています。
共感的な養育とは、以下のような状態を言います。
- 目をしっかりと見て話をしてくれる
- 基本的に肯定、応援をしてくれる
- よく観察して見守ってくれる、興味を持ってくれる
- 報告や気持ちの吐露をしっかり聞いてくれ、共感や感想をくれる
- 人格を尊重した教育をしてくれる
簡単にまとめると、子供に興味をもって見守る、話を聞いてくれる といった状態です。
子供には、”養育者から見守られたい、存在を認められたい” という 承認欲求があります。
承認欲求が満たされると、守られているという安心感を得ることができます。
安心感を得ることで安全基地を健全に気づくことができるようになるのです。
愛着が健全に育たない環境
以下のような場合は、愛着が歪んでしまい安全基地が健全に形成されません。
愛着が健全に育ちやすい環境とは、真逆の環境になります。
- 押しつけ的なしつけ
- 子供の話を聞かない
- 条件付きの愛情
- 一方的愚痴を聞かせる
- 罵倒、罵声
- 暴力
簡単にまとめると、”子供の感情を無視した教育やしつけ”をする環境です。
子供は、感情を無視されるような教育をされると愛着障害になりやすいです。
感情を無視されると承認欲求を満たすことができず、安全基地が形成できません。
- こどもがはしゃぐ、感情表現をすると「静かにしなさい」としかる
- やりたくないとごねると、「いいからやりなさい」と圧力で言い聞かせる
- 最終的に暴力でいうことを無理に聞かせる
このような教育が続くと、段々と感情や欲望はだしてはいけないものと感じて、自主性がなくなってしまいます。
抑圧を続けることで ”ストレス、怒り”
また、同時に承認欲求が満たされないことで ”愛されない悲しみ” をため込んでしまいます。
ひどい仕打ちを受けた怒りと、自分を見てくれなかったという悲しみが入交り、複雑な感情で親を憎むようになります。
このように、記事の最初で紹介したような問題へとつながっていきやすくなってしまうのです。
まとめ
こちらの記事では、愛着障害ってなに?という疑問に対して解説しました。
- そもそも愛着障害ってなに?
- 愛着障害があると起きる問題
- 愛着の育ち方
愛着とは、「自分は守られる、愛される存在である」という自信です。
愛着が健全に形成されないと、自己嫌悪に陥ったり自信が持てないなど様々な問題につながります。
愛着障害の問題を抱えていないか、今一度振り返ってみるとよいかもしれません。
皆様が、楽に生きることのお役に立てたら幸いです。
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